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予防だけでは足りない?メンタルヘルス対策の新しい進め方とは

労働力人口が年々減少していく中、休職者の発生を防ぐためにメンタルヘルス対策は、企業においてより一層重要な取り組みとなっています。メンタルヘルス対策はもはや企業の選択肢ではなく、必要な施策です。2024年10月11日に公表された厚生労働省「令和6年版過労死等防止対策白書」では、過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況が記載されており、同時に労働時間やメンタルヘルス対策等の状況についてもまとめられています。本稿では、メンタルヘルスを取り巻く状況を確認するとともに、今こそ求められるメンタルヘルス対策の進め方について解説します。

1.深刻化する職場のメンタルヘルス
2.メンタルヘルスによる労災認定状況
3.メンタルヘルス不調はなぜなくならない?
4.注目されるリワーク支援の取組み
5.まとめ

■深刻化する職場のメンタルヘルス

まず厚生労働省「令和5年度労働安全衛生調査」によると、メンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は、13.5%となっています(前年調査13.3%より0.2%の増加)。業種や従業員規模に関わらず長期の休職の発生数は増加し続けており、大きな社会問題となっています。
また仕事や職業生活について強い不安やストレスを感じている労働者の割合は82.7%(前年調査82.2%より0.5%増加)という高い数字となっており、メンタルヘルス不調による休職者が発生するリスクは継続して高まっている状態です。

■メンタルヘルスによる労災認定状況

メンタルヘルス不調による企業リスクは休業や退職だけでなく、労働災害発生のリスクもあります。
厚生労働省「令和6年版過労死等防止対策白書」では、精神障害に係る労災請求件数と労災支給認定件数を公表しており、それぞれが年々増加を続けています。特に令和5年における状況は、労災請求件数は3,575件(前年度比892件増加)、労災支給認定件数は883件(前年度比173件増加)となっており、前年度に比べて約30%近く増加しているということになります。
業務における強い心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求や支給認定の件数は増え続けており、労働災害発生を防止するためにもメンタルヘルス対策は必要となっています。

■メンタルヘルス不調はなぜなくならない?

同じ厚生労働省「令和6年版過労死等防止対策白書」では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合も公表されています。
事業所規模別の数字では、従業員30人未満の事業所は56.6%となっており、まだまだ小規模・中小企業ではメンタルヘルス対策が進んでいない実態も明らかになっています。一方で従業員50人の事業所はおおむね90%を超える高い割合となっており、特に従業員1,000人以上の規模の事業所では100%と、当然のように大企業ではメンタルヘルス対策が進められているということが分かります。
ストレスチェックやコンディションチェックが積極的に実施され、健康経営に取り組む企業も増えている中で、なぜメンタルヘルス不調による休業や退職、労働災害の発生はなくならないのでしょうか?

■注目されるリワーク支援の取組み

どんなにメンタルヘルス対策に力を入れていたとしても、メンタルヘルス不調を「完全にゼロにすることはできない」という現実があるのかもしれません。
健康に気を付けて生活をしたとしても風邪を引いてしまうことがあるように、社会生活や仕事の中でのストレスやメンタルヘルス不調を引き起こす要因を完全に排除するというのは困難です。
誰もが社会生活や仕事の中でメンタルヘルス不調を引き起こす可能性があるとした上で、注目されているのが「リワーク支援」の取組みです。
リワークは一度メンタルヘルス不調となってしまった従業員が職場や社会に復帰するための段階的な準備をサポートする、復職支援のプログラムです。リワーク支援を受けた休職者は、そうでない休職者に比べて復帰後の定着率に3.5倍もの開きがあるという数字も出ています。
メンタルヘルス不調=職場復帰が困難、という前提ではなく、一度メンタルヘルス不調が生じてしまったとしても適切な形で職場や社会復帰が可能となるという仕組みのため、メンタルヘルス対策として注目され始めています。
メンタルヘルス不調を引き起こさないようにする予防のための施策もまずは重要ですが、メンタルヘルス不調が生じてしまった後のケアも施策として取り入れてみてはいかがでしょうか?

■まとめ

メンタルヘルスを取り巻く状況から、今注目されるリワーク支援の取組みをご紹介しました。メンタルヘルス対策は、メンタルヘルスを起こさないための予防だけではなく、起こってしまった場合のケアにフェーズが移ってきていると感じます。メンタルヘルス不調が起こってしまったとしても、誰しも起こり得ることとして職場復帰が出来る環境やサポートを整えていくことは、多様性を受容する職場風土を作る観点からもメリットがあります。
メンタルヘルス対策に課題やリワーク支援の取組みに興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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