2021年3月~障害者法定雇用率の引き上げ迫る!注意点を解説
2018年4月に障害者法定雇用率は2.2%へ引き上げられましたが、3年後の2021年4月までには0.1%引き上げを行い、2.3%とすることが予定されておりました。当初は2021年1月に障害者法定雇用率の引き上げが行われる方向で議論がされておりましたが、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、2ヵ月後ろ倒しの2021年3月に障害者法定雇用率の引き上げが行われる方針となりました。障害者法定雇用率の引き上げは、どのような影響を及ぼすのでしょうか。
1.障害者法定雇用率の引き上げによる影響
2.企業名公表基準に注意が必要
3.幅広く活躍する障害者、法定雇用率を守るために
4.まとめ
■障害者法定雇用率の引き上げによる影響
厚生労働省による令和元年度「障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業での障害者雇用数、実雇用率は過去最高を更新し、法定雇用率達成企業の割合も2.1ポイントの上昇となっています。障害者の活用方法については差があるとしても、障害者雇用義務については広く社会に浸透し、対応が進んでいることは間違えありません。
今回の障害者法定雇用率の引き上げにより、今までの常時45.5人以上を雇用する事業主から常時43.5人以上を雇用する事業主が、障害者雇用義務の対象となります。雇用義務対象ギリギリ(45.5~100人未満)の会社については、同集計結果によると実雇用率、法定雇用率達成企業の割合ともに全体の平均を下回っており、新型コロナウイルスの影響もあり採用予定者数を例年より少なくする企業が増加している中、障害者法定雇用率の引き上げが負担になってしまう可能性もあります。
■企業名公表基準に注意が必要
障害者雇用義務を果たせていない場合、会社が受けるペナルティは大きく分けて2つあります。
①行政指導
②障害者雇用納付金
障害者雇用義務数を満たしていない会社の中で、障害者雇用納付金を払うことを許容して障害者雇用に積極的に取り組まないという会社もあります。ただし行政指導には注意が必要で、「全国の平均実雇用率を下回り不足数5名以上」「不足数10名以上」「法定雇用数3~4名で雇用障害者数が0名」等の基準に該当する場合、ハローワークより障害者の雇い入れ計画作成を命じられ、計画を達成できない、従わない場合等に企業名公表の措置が取られることがあります。法令に従わない悪質な会社というイメージがつくことは金銭以上のダメージがありますので、障害者雇用納付金以外のリスクがあることも理解する必要があります。
■幅広く活躍する障害者、法定雇用率を守るために
近年では、障害の特性を生かした雇用についても多く取り組まれています。例えば、発達障害者について興味関心が高いことについて過集中と呼ばれるほどの高い集中力を発揮することがあり、目的の分かりやすい検品等の作業で力を発揮することもあります。2019年には厚生労働省が就労パスポートを作成し、障害者の強みや特性、苦手なことを理解した上でのミスマッチを防ぐ仕組み作りや採用も進められています。
これまでは身体的な理由や、障害を要因として決まった時間に電車に乗り、決まった時間までに出社するというのが困難であった障害者についても、テレワークが進み通勤や出社が不要となったことで、障害者を活かすことができるというプラスの事例も増えているようです。
障害者雇用については国や自治体で助成金も多く用意されておりますので、それらを活用しながら法定雇用率を守る努力も必要となっています。
■まとめ
新型コロナウイルスの影響による様々な経営・人事の課題がある中で、障害者法定雇用率は引き上げが行われる見通しです。障害者雇用義務を正しく理解した上で、会社も従業員も障害者も、それぞれがお互いに幸せになる計画が求められてくるでしょう。
汐留社会保険労務士法人では、ノウドー株式会社と業務提携し、法定雇用数を満たす目的ではなく障害者も活躍してもらうための、お互いにwin-winな雇用関係を目指す就労支援をしております。障害者法定雇用に課題をお持ちの場合、お問い合わせください。
↓動画でも分かりやすく解説しています。
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