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働き方改革

2022年4月1日~建設事業「下請指導ガイドライン」が改訂されました!

働き方改革

国土交通省では、元請企業と請負企業の取組の指針となる「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」(下請指導ガイドライン)を策定し、2017年度以降については、元請企業に対し社会保険に未加入である建設企業を下請企業として選定しないよう要請する等、対策の強化を図ってきました。本稿では、建設事業を取り巻く状況や2022年4月1日から適用されている改訂後の下請指導ガイドラインについて、解説をします。

1.社会保険への未加入問題
2.2024年4月1日~ 労働基準法の時間外労働上限規制の適用
3.2022年4月1日~ 下請指導ガイドラインの改訂:一人親方について
4.まとめ

■社会保険への未加入問題

社会保険への未加入問題については、全国社会保険労務士会連合会のホームページの中にも「建設業の社会保険未加入対策」のページがあります。技能労働者の処遇の低さが建設業界に入る若い人の減少につながっているということ、また社会保険に加入していない企業も多く、これでは適正に社会保険に加入して、法定福利費(会社が負担する社会保険料)を負担している企業ほど、受注競争上不利という不公平な課題がありました。そのため、社会保険に未加入の建設企業には、建設業の許可・更新を認めない仕組みを構築し、社会保険への加入の許可要件化を推進しています。

■2024年4月1日~ 労働基準法の時間外労働上限規制の適用

また、2024年4月1日以降の建設事業は、これまで適用が猶予されていた労働基準法の時間外労働の上限規制が全て適用されることになっています(災害の復旧・復興の事業を除く)。

【労働基準法の上限】
時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。

なお、臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、次のことを守らなければなりません。

①時間外労働が年720時間以内
②時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
③時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1か⽉当たり80時間以内
④時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
※災害の復旧・復興の事業については、上記②と③の規制は適用されません

■2022年4月1日~ 下請指導ガイドラインの改訂:一人親方について

建設企業としては、労働基準法が適用される方をきちんと把握する必要があり、請負人(一人親方)として扱うのかどうか、より適切な判断が必要となっていることから、下請指導ガイドラインが改訂され、2022年4月1日から適用されています。
一人親方とはいわゆる個人事業主のことを指します。一人親方との契約が「雇用契約」ではなくても、働き方が労働者と同様であると判断された場合には、その方は労働者として取り扱われることになります。また、今回の下請指導ガイドラインの改訂では一人親方について文章が追加されています。

○建設業界として目指す一人親方の基本的な姿とは、請け負った工事に対し自らの技能と責任で完成させることができる現場作業に従事する個人事業主
・技能とは、相当程度の年数を上回る実務経験を有し、多種の立場を経験していることや、専門工事の技術のほか安全衛生等の様々な知識を習得し、職長クラス(建設キャリアアップシステムのレベル3相当)の能力を有すること等
・責任とは、建設業法や社会保険関係法令、事業所得の納税等の各種法令を遵守することや、適正な工期及び請負金額での契約締結、請け負った工事の完遂、他社からの信頼や経営力があること等

労働者であると思われるのに、一人親方として仕事をさせていることが疑われる例として、次のような場合が考えられます。

1.年齢が10代の技能者
2.経験年数が3年未満の技能者
3.働き方自己診断チェックリストで確認した結果、雇用労働者に当てはまる働き方をしている方

このような場合は、ひとまずは雇用関係へ誘導していく方針ですが、再三の指導に応じず、改善が見られない場合はその建設企業の現場入場を認めない取扱いをする等、厳しい対応がなされます。

■まとめ

 建設業の社会保険への加入の許可要件化や一人親方化防止対策、労働基準法の時間外労働の上限規制の適用等、建設業界ならではの必要な取り組みもあるため、しっかりと内容を理解したうえで、対応することが求められています。

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