2021年後半に取り組むべき人事戦略!成長戦略実行計画に見るポイントとは
9月2日に第13回成長戦略会議が行われ、今年6月に閣議決定した成長戦略実行計画や戦略について、人への投資や経済安全保障等の分野で追加の支援策を検討していく方針を明らかにしました。人事労務に関する内容について、政府はどのような支援を行っていく方針となっているのでしょうか。本稿では、成長戦略実行計画で示された「人」への投資の強化やそのポイントについて解説します。
■成長戦略の秋に向けた検討課題案
9月2日の第13回成長戦略会議では、「成長戦略の秋に向けた検討課題案」として支援策のポイントがまとめられています。「人」への投資の強化については、次のようなポイントが挙げられています。
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フリーランス保護制度の在り方
事業者とフリーランスの取引について、書面での契約のルール化等、法制面の早急な整備が挙げられています。このコラムでも度々ご紹介させていただいている「厚生労働省 フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」も公表されましたが、兼業・副業やキャリアパスとしてフリーランスの活用が注目されており、法整備の動向は引き続き情報を収集しておきたいポイントです。
またフードデリバリー配達員やITフリーランスへの労災保険特別加入対象拡大が、いよいよ今年9月1日からスタートとなりましたが、フリーランス保護のため、さらなる労災保険特別加入の対象拡大に向けて、議論がなされています。
↓過去のコラムもご覧ください。
フリーランスも労災保険の対象に!フードデリバリー配達員やITフリーランスの労災保険特別加入
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労働移動の円滑化
特にコロナ禍により雇用が不安定化している飲食・宿泊・文化芸術・エンターテインメント等で働く非正規雇用労働者の方々について、失業なく労働移動できるシステムの検討もポイントとなっています。このような非正規雇用労働者の方々は、自分で働く時間を選ぶことができる、家事・育児・介護との両立等を理由として、自ら非正規雇用の雇用形態を選んでいる傾向があるため、企業側にも「勤務時間の分割・シフト制の普及」や、「短時間正社員の導入」等、多様な働き方の許容を求めていくとしています。多様な働き方制度の導入や、それに伴う非正規雇用の雇用環境整備について、助成金等の支援も進められていくでしょう。
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リカレント教育を始めとする能力開発
労働移動の円滑化と関連して、失業なき労働移動を達成するために、リカレント教育の推進や能力開発もポイントとされています。正規雇用への労働移動や、時間的制約の少ない職種への労働移動の選択肢を提供するため、簡単なトレーニングを行って労働移動できるようなシステムを検討するとされています。コロナ禍により通学講座が開催されない、休講せざるを得ない場合にオンラインでの出席を認める等、教育訓練給付に関する要件の緩和も認められていますが、教育訓練給付や助成金の活用も進められていくと思われます。
■成長戦略実行計画のポイント
秋に向けた重点的な支援策のポイント以外にも、成長戦略実行計画では多くの検討課題が示されています。
例えば「兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現」として、多様な働き方や新しい働き方を希望する方のニーズに応えるために、兼業・副業の選択肢を提供し、短時間正社員等の多様な正社員制度の導入を促進していくとしています。注目されている選択的週休3日制についても、導入を促進し普及を図るとしています。
前述の内容にも関連し、労働移動の選択肢を増やし産業構造の変化に伴う労働移動の円滑化を図るためにも、建設業や医師等への時間外労働上限規制の適用等、さらなる働き方改革を推進していくことも示されています。2022年4月にはハラスメント防止義務が中小企業にも適用されます。ハラスメント対策や同一労働同一賃金、働く環境の整備も労働移動の円滑化には欠かせません。給与デジタルマネー払いの解禁に向けても、保証制度等の構築を進め、2021年度出来るだけ早期の制度化が検討されています。
■まとめ
成長戦略実行計画では、政府が重点的に支援に取り組んでいく内容が示されており、まさに企業が取り組むべき人事労務課題が見えてきます。企業の成長は日本全体の成長に直結するものであり、成長戦略実行計画のポイントから自社の人事労務課題に取り組むことは、企業の成長にもつながります。人事労務課題は多岐に渡りますが、自社の課題分析や解消、戦略的な計画・実行に課題がある場合、是非ご相談ください。
汐留社会保険労務士法人が、プロの目線で人事戦略推進を支援します