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年末調整電子化のメリットは?導入に向けた準備と合わせて解説

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平成30年度の税制改正において、年末調整に使用する生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除等の情報は電子データで提出できるようになりました。また、令和2年分の年末調整から、国税庁が「年末調整控除申告書作成用ソフト」をリリースするなど、年末調整を電子化する流れが進んでいます。そこで、本稿では年末調整電子化のメリットと、導入に向けた準備について解説していきます。

1.年末調整電子化のメリット
2.導入に向けた準備
3.注意点
4.まとめ

■年末調整電子化のメリット

(1)正しい申告

年末調整は毎年のように法改正が行われており、内容が年々複雑化しています。電子化ソフトを使用した場合、従業員の申告画面には入力補助機能がついていたり、操作ガイドを参照できるようなものが多くあります。従業員個人が、何をどの項目に入力すればよいかを把握しやすいため、法改正に伴う申告書フォーマットや計算方法の変更にも柔軟に対応することができます。従業員からの質問が減り「正しい申告」が増えることにより、従業員からの問い合わせや記入不備に対応する担当者の負担が軽減されることはメリットと言えるでしょう。

(2)ペーパーレス化

従来紙でやり取りをしていた部分が基本的には全てデータでやり取りできるため、申告書類の印刷・配布・回収という一連の作業がなくなることはメリットの一つです。支店や営業所のある会社では、郵送にかけていた時間・コストの削減にも繋がります。また、年末調整の各種申告書は7年間が法定保存期間とされていますが、データで管理することで保管場所の確保に困ることがなくなり、過去データも参照しやすくなります。

(3)確認作業時間の削減

生命保険料や住宅借入金等特別控除などのややこしい計算も、必要項目に正しい数字を入力することで控除額が自動計算されます。また、これらはマイナポータルとの連携、若しくは保険会社等のホームページから、電子データとして情報を取得することができます。電子データを活用することで、計算に用いる金額を自動入力とすることができます。
このように、紙での年末調整では手計算をしていた部分を簡素化できますので、作業時間の削減や計算ミスを防ぐことに繋がります。

※参照「年末調整手続きの電子化概要図(国税庁)」

■導入に向けた準備

(1)使用ソフトの選定

年末調整を電子化するには、専用のソフトを導入する必要があります。ソフトを選定する際には、次のポイントを参考にしてください。

①給与計算ソフトとの連携

年末調整と給与計算ソフトが自動連携できるものであれば、従業員情報(氏名、住所、生年月日、扶養家族等)の登録や年税額の計算、給与計算への反映までの一連の情報が連携されます。年末調整ソフト導入に係るセットアップ作業を短縮できるため、導入~運用までスムーズに対応することができます。

②従業員にわかりやすい仕様か?

年末調整を進めるうえで、従業員が「間違いなく申告」することは重要です。入力ガイドやヘルプ機能のあるソフトでは、申告記入時の従業員の疑問をその場で解決することができます。

③担当者の業務効率化に繋がるか?

ソフトを通して担当者と従業員がコミュニケーションを取りやすいことや、進捗状況が一目でわかることもポイントです。提出遅れや申告不備による差戻しの際に、対象者へ社内メールで連絡することや、進捗状況をエクセルで管理することは担当者の負担になります。年末調整ソフト以外のツールを使用する機会が少ないほど、担当者の業務効率化に繋がります。

(2)従業員への周知・フォロー体制の整備

年末調整を電子化するにあたり、法令上は事前に従業員から同意を得る必要はありません。しかし、従業員においても、保険会社等から控除証明書等データを取得するための手続など、事前準備が必要となることから、国税庁では電子化する際には早めに周知するよう求めています。その際、使用するソフトや事務手順についても説明することが必要です。また、システムに不慣れな従業員をフォローできる体制を事前に整備しておくとよいでしょう。

■注意点

生命保険料や住宅借入金等特別控除の控除証明書は、電子データでの取得を活用することで便利な面がある一方、現状では電子データに一定の制約があります。全ての保険会社が電子化に対応しているわけではないことに加え、国民年金保険料など一部電子化未対応の証明書もあります。
またソフトによっては、控除証明書原本の画像を添付して提出することもできますが、その場合は最終的に原本回収が必要になります。控除証明書の提出を紙に統一するのか、電子データを認めるのかは会社の任意ですが、提出ルールを明確にしないと、かえって管理が煩雑になるため、注意が必要です。

■まとめ

紙での年末調整ではやり慣れた手順で対応できるため、従業員にとっても担当者にとっても楽な部分も大いにあるとは思いますが、このまま続けていては担当者の作業時間削減は見込めません。それどころか年々複雑化する年末調整に対応するのが難しくなっていくことが想定されます。
年末調整電子化について、特に導入初年度は負担のかかる面もありますが、長期的にみると十分な効果を見込めますので、早めに検討・準備を進めましょう。
年末調整電子化に関するご相談はこちら

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