中小企業でも「えるぼし」取得!今大注目の女性活躍推進の現状と期待
「えるぼし」とは、女性活躍推進法に基づき、女性の活躍推進に関する状況が優良と認定された企業に与えられる認定制度です。この認定を受けることで、企業は女性の活躍推進に積極的に取り組んでいることを社会にアピールすることが可能となります。中小企業でも取得企業が増加しており、2024年3月末には従業員300人以下の企業でえるぼし認定段階3を認定された数は5年前の6倍に当たる945社となりました。本稿では、今注目される「えるぼし」の概要と女性活躍推進について解説します。
1.えるぼし認定基準と等級
2.女性活躍推進法との関係
3.えるぼし取得のメリット
4.中小企業がえるぼしを取得するためのステップ
5.中小企業における課題とその対策
6.まとめ
■えるぼし認定基準と等級
えるぼし認定の基準は、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5項目に基づいて評価されます。この5項目それぞれについて一定の基準をクリアすることが求められます。基準を満たす項目の数によって、等級が1つ星から3つ星までの3段階に分かれます。1つ星は1項目以上、2つ星は2項目以上、3つ星は3項目以上の基準をクリアした企業に与えられます。等級により、企業の女性活躍推進の取り組みがどの程度進んでいるかを示すことができるのです。
■女性活躍推進法との関係
女性活躍推進法は、2016年に施行された法律で、女性の職業生活における活躍を推進することを目的としています。この法律に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出と情報公表が義務化されており、2022年4月から対象企業が拡大されました。女性活躍推進法の改正により、企業には女性の管理職比率の向上や女性の職業生活における活躍を支援する環境の整備が求められています。えるぼし認定は、この法律に基づいて設けられた認定制度であり、企業が女性活躍推進の具体的な取り組みを行っていることを証明するものであります。
■えるぼし取得のメリット
えるぼしを取得するメリットは3つあり、中小企業にも大きなメリットがあります。
①企業のイメージ向上
えるぼしを取得することで、企業のイメージ向上が期待できます。取得するためには、企業が女性の活躍を推進する具体的な取り組みを行っていることが必要です。そのため社内外から高い評価を得ることができ、企業ブランドの向上に繋がります。また、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を達成することで、社会的な信頼も向上します。これは、特に多様性と包括性が重視される現代のビジネス環境において非常に重要な要素です。
②採用活動への影響
えるぼしの認定を受けることは、採用活動においても大きなメリットがあります。求職者は企業選びの際に、その企業が多様性を尊重し働きやすい環境を提供しているかを重要視しており、「女性の活躍推進企業データベース」は多くの求職者が情報をチェックしています。えるぼし認定を受けた企業であることを明示することで、優秀な人材の採用がしやすくなるでしょう。特に女性求職者にとっては、働きやすい職場環境が整っているという安心感を持って応募できるため、応募者数の増加が見込まれます。
③従業員のモチベーションアップ
えるぼし認定を受けることで、従業員のモチベーションアップにも繋がります。企業が女性の活躍推進に積極的であることが示されるため、女性従業員はもちろんのこと、全従業員が働きやすい環境であることを実感できます。このような環境が整うことで、仕事に対するやる気が向上し、結果として企業全体の生産性が高まります。また、従業員の離職率の低下といった効果も期待でき、長期的な組織の安定に寄与します。
■中小企業がえるぼしを取得するためのステップ
現状分析と課題の抽出
まず、中小企業がえるぼし認定を目指すためには、現状の分析が不可欠です。具体的には、女性社員の採用状況や定着率、管理職に占める女性の割合などを詳細に調査します。これにより、どの分野で女性の活躍が不足しているのか、何が原因となっているのかを明らかにします。このステップで得られるデータは、今後の対策を具体的にするための重要な基盤となります。
行動計画の策定と実施
次に、現状分析で明らかになった課題に基づき、具体的な行動計画を策定します。これは、女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」として作成し、策定・届出を行います。この計画には、採用・育成・キャリアパスの整備など、具体的な施策とその実施スケジュールを含めることが重要です。計画を立てるだけではなく、実際にそれを着実に実行することが求められます。
申請手順と必要書類
えるぼし認定を受けるためには、管轄の労働局に対して申請を行います。申請には、一般事業主行動計画の策定・届出のほかに、女性の活躍推進に関する具体的な実績や状況を示す書類や情報公開が必要です。具体的には、女性社員の人数や管理職比率、採用定着状況などを明示する必要があります。また、定期的な情報公開や調査も行われるため、準備は入念に行いましょう。
■中小企業における課題とその対策
中小企業がえるぼし認定を取得するには、多くの課題があります。まずは現状の分析と課題の抽出が必要ですが、その際、リソースや専門知識の不足が問題となります。このため、外部専門家のアドバイスを受けることが有効です。また、行動計画の策定と実施においても、人材や資金面での制約がある場合が多いです。これらの課題を本質的に女性の活躍推進に係る課題を解決するために、外部専門家の派遣やコンサルティングなども活用しましょう。
またえるぼし認定には審査基準があり、「雇用管理区分」という定義に基づいて女性の活躍推進状況を把握しなければならない項目がいくつも存在します。どうしても人数規模が大きくない中小企業では、女性活躍推進の意識があるかないかとは別に職種や採用状況で性別ごとの偏りが生じてしまうことがあるため、えるぼし認定に精通した専門家の支援を受けることが近道となります。
■まとめ
えるぼし認定は、女性活躍推進法に基づき、女性の職業生活における活躍を推進する取り組みの一環として設けられた制度です。中小企業でもこの認定を取得することで、企業のイメージ向上や採用活動の効果、さらには従業員のモチベーションアップなど、多くのメリットを享受できます。
人的資本経営推進やダイバーシティ活用の観点からも女性活躍推進の重要性が広まりつつあります。「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」においてもこれからの女性活躍推進に関する法制度の在り方が議論されており、今後も重要性は高まってくるものと思われます。女性活躍推進法の改正や女性の活躍を支援する環境の整備がより一層進んでいくことが予想される中で、中小企業こそ女性活躍推進の取り組みが期待されます。
えるぼし認定の取得は単なる企業のステータスではなく、社会全体としての女性活躍推進のシンボルです。中小企業での女性活躍やえるぼし認定に関するご相談は、ぜひ汐留社会保険労務士法人にお問い合わせください。
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