前回は労働者が労働トラブルについて相談をする労働基準監督署についてお話いたしました。今回は、労働者が取るその後の対応、企業の対応策についてお話します。
労働トラブルについて相談をする窓口は、労働基準監督署以外にも労働相談所(役所、ユニオン、NPO、法テラス)があります。
ただ労働基準監督署では企業への是正勧告が可能ですので、影響は大きいです。
労働者が就業期間中のタイムカード(タイムカードがない場合は出社・退社時間のメモ)と給与明細、会社の就業規則、雇用契約書等を用意している場合は証拠になります。
また労働者が企業へ労働トラブルについて申告するために、以下の方法があります。
・労働局の斡旋申請や助言、指導
・簡易裁判所(調停、支払い督促、小額訴訟、訴訟(訴額140万円以下))
・地方裁判所(労働審判、訴訟)
最近の裁判
○某ファーストフード店では店長を管理職として扱い残業代を支払わなかったケースで、未払い残業代を求める裁判で勝訴しました。この場合は労働基準法が定める「管理職」に当てはまらなく、事業者側も支払いに同意しました。
○某外食チェーンでの契約店長が過労死したケースでも損害賠償金の支払いに同意、またほかの契約店長についても未払い残業代を支払うということで同意しました。
上記裁判は未払い残業代を求める裁判のほんの一例です。企業はこのようなケースが起きないかを事前に十分検討し、就業規則や給与規定を作成しましょう。リスクを事前に回避することが必要不可欠です。
以下にあてはまる会社は要注意です。
・固定給が見合っていない
・サービス残業が明らかに多い
・みなし残業制(例:営業職が所定労働時間を越えて残業しても、その超えた分は管理できないため所定労働時間、例えば9時間働いたとみなす等)、固定残業制(例:固定残業代50時間分を含めて給与を支給等)を給与規定に採用していない
労働者が残業代を請求しないだろうと高をくくって、就業規則や給与規定を作成していない会社は要注意です。会社の状況に合った適切な就業規則、給与規定を作成しておきましょう。