月から降ってきた鈴の音・・・
2018.09.06 労働・雇用関係
9月に入りましたが、暑さの厳しい日が続いております。皆様、お変わりなくお過ごしでしょうか。また台風や豪雨、地震などが多数各地で発生しました。被災地域の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
さて、働き方改革法案が成立し、すべての会社で年間の有給休暇消化日数が5日未満の従業員については、会社が有給休暇を取得するべき日を指定することが義務付けられたことをご存知でしょうか。他の働き方改革と異なり、この有給取得の義務化は、すべての事業主様に平成31年4月から適用される法改正で違反した場合は、30万円以下の罰金もありますので、早めに対応策を決めることが必要です。そこで、今回は、その概要と対応を簡単にご説明したいと思います。
【対象者】
*年10日以上有給休暇を付与された従業員(入社6か月経過の正社員やフルタイムの契約社員に限らず、勤続年数に応じて比例付与されるパートタイマーやアルバイトであっても基準日に10日以上、有休付与された場合は対象となります。例えば、週3日勤務のパートタイマーの場合でも、入社後、3年半以上経過されている場合は、対象となる可能性があります。)
【内容】
*年5日の有休取得の義務化(すでに、計画有休制度がある場合や、従業員からの請求により有給休暇を消化している場合は、その日数分は、改正法による有給休暇取得日指定の義務の日数から差し引かれます。)
【対応策】
*個別指定方式による取得
従業員ごとに消化日数が5日以上になっているかをチェックし、5日未満になりそうな従業員について、会社が有給休暇取得日を指定する方法です。例えば、就業規則に「基準日から1年間の期間が終わる●か月前までに有給休暇が5日未満の従業員について会社が有給休暇を指定する」などと定めて、実行していくなどです。この方法は、会社による指定の柔軟性が高い反面、個別の管理という手間が増えます。また比較的有休取得率が高く、有休消化日数が年間5日以上の従業員様が多数を占める場合は個別指定方式が適しています。
*有給休暇の計画的付与制度の導入
法改正前から労働基準法39条6項に定められている制度ですが、会社が従業員代表との労使協定により、各従業員の有給休暇のうち5日を超える部分について、あらかじめ日にちを決めて取得することができるものです。この制度で年5日以上の有給休暇を付与すれば、対象従業員について5日以上は有給を消化させていることになるため、今回の法改正による有給休暇取得日の指定義務の対象外になります。特定する方法は、①全社一斉に特定の日を有給休暇とする ②部署ごとに有給休暇日を決める ③個人毎に有給休暇日を決める 3通りがあります。従業員ごとの有休取得の管理の手間がかからない半面、労使協定が必要で日にちを会社の都合で変更できません。有休取得率が低く、多くの従業員が5日未満しか取得されていないようでしたら、5月、9月の連休や夏期休暇、年末年始の前後に有給休暇を消化するなど、計画的に有給休暇消化日を増やすことにより対応するほうが業務への支障を避けやすいといえます。なお、計画的付与を採用しますと全体的な有休の取得率も上がります。
まずは、現在の有給休暇の取得状況をご確認いただき、それをもとにどちらの方法が適しているかをご検討下さいませ。制度の導入や就業規則の改定等、弊社でもお手伝いいたしますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。
最後に、そろそろ帰宅途中の街路の植え込みから、虫の音が聞こえるようになり、暑さの中にも季節の移ろいを感じられるようになりました。秋の夜長を賑やかすのは虫時雨。その代表奏者は、月鈴子ですね。この別称は鈴虫の音色がまるで月から降ってきた鈴の音のように美しい音だからといわれています。月から降ってきた鈴の音・・・昔の人々の豊かな感性に日本語の美しさがあいまって、脱帽です。暑かったり涼しかったり、また大雨が降ったりと天候不順な折ですが、皆様もご自愛のうえ、虫たちの大合唱にも耳を傾けて秋の夜長をお過ごし下さい。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 Homma 🙂