蟹の甲羅

プライベート

 変わっている、と人によく言われます。

 大体良い意味で言われる言葉ではないにしても、自意識の高かった学生時代なんかには、人とは違うとか個性的とかいうふうに良いように解釈して、この言葉をまんざらでもない気持ちで受け取ることができましたが、いい大人になってからはさすがにうれしくも何ともないどころか、つい苦虫でも噛んだような顔をしたくなります。

 人と足並みを揃えるのは難しいことです。

 普通に生きる、というのはなんて事のないことだと昔は思っていましたが、最近では普通であるということはなんて難しいことかと思います。

 ついつい高望みをしたり、欲を出したり、調子に乗ったりして、僕は僕が思う僕と違う姿で人前に現れるんでしょう。

 蟹は自分の甲羅に似せて穴を掘るそうです。

 自分が蟹くらい利口ならば良いのになぁ、とふと思ったりします。

岩切