読書
2021.07.21 プライベート
最近になって、趣味の読書を再開しました。
社労士試験の勉強を始めたころから勉強に関係のない本を読まなくなってしまい、試験が終わってからもコロナ禍真っ只中での急な転職活動で余裕がなく、その後も新しい仕事に慣れることにいっぱいいっぱいであったりして、なかなか落ち着いて本を読もうという気持ちになれませんでした。
しかし汐留社会保険労務士法人に入社して半年が経ち、最近やっと息をつけるようになって、ふと手に取った井伏鱒二の詩集を一気に読んでしまいました。
社労士法人に入社して、社労士というのは言葉の扱いに対してとても厳しくあらねばならない仕事だということを知りました。一つ一つの言葉のやりとりにおいて、具体的かつ正確な言葉でのコミュニケーションを心掛けねばならない。こういった意識はそも社会人であるなら当然持つべきものでしょうが、士業に携わる身であれば、より一層高い意識が求められると、この半年で強く感じさせられました。
ただ、そうやって日々、言葉の扱いを慎重にするよう意識して仕事をしているからか、井伏の詩のなんだかふらふらした文章が、読んでいてとても楽しく感じられました。
井伏鱒二はとても有名な文学者ですが、とりわけ『勧酒』という唐の時代の漢詩の最後の一文を「サヨナラダケガ人生ダ」と訳した、この文句が一番知られているんじゃないかと思います。
自分は、この言葉の前段の文も含めて、親しい人との別れを前に、酒を飲んでやけっぱちになったような、開き直ったような言い回しが、風雅であるのにどこか親しみを感じさせる別れの描写に感じられて印象的でした。
世の中のいやな雰囲気に、ともすれば個々の心もとらわれがちになりますが、そんな時こそたまたま開いた本から、多くの楽しみを得られる気がします。
読書の秋にはまだずいぶん早いですが、夏の休日を利用して色々と面白い本を探してみようと思っています。
岩切