花信相次ぐ季節となりました。

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花信相次ぎ、ここかしこに華やぎを感じる季節となりました。如何お過ごしでしょうか。
通勤電車に新たに登場した新入社員の皆さんの面持ちに、遠い?昔の自分自身の夢や希望が想い起され、気持ちを新たにしてくれます。来週からは、そこにまた、新入生も加わり、よりフレッシュさが増しますね。

さて、新年度に入り、いろいろな法改正もありますが、今回は、先月末の人事労務ご担当者様が少し、騒つかれただろう再雇用時の賃金にかかる最高裁の判決についてお話ししたいと思います。
簡単に事案をご紹介しますと定年後再雇用契約にあたり、賃金の75%カットを提示されて退職をした社員様が損害賠償(と地位確認もありますが、ここでは損害賠償についてのみ説明します。)を求めたものですが、当初、福岡地裁の判決は「賃金の引き下げは業務の減少によるもの」として合理性を認め、会社の主張を支持しました。これを不服とした社員様が控訴したところ、今度は福岡高裁が再雇用時の労働条件は「定年の前後で継続性・連続性があることが原則」との解釈を示して、「継続雇用制度の導入の主旨に反し、違法性がある」との判断をしたため、最高裁への上告へと発展しました。最高裁ではこの上告を不受理としたため、当初の高裁の判決である「定年後の極端な労働条件悪化は、65歳までの継続雇用を義務付けた高年齢者雇用安定法の趣旨に反する」として、会社側へ慰謝料100万円の支払が確定したものです。
改正高年齢者雇用安定法は、年金の支給開始年齢の段階的な引き上げに伴い賃金も年金ももらえなくなるケースを防ぐために⑴定年の引き上げ ⑵継続雇用制度の導入 ⑶定年の廃止のいずれかの措置を企業に義務付けたものですが、再雇用時の労働条件にかかる具体的なルールがなく、企業側の裁量となっていました。ところがこの最高裁が示した「定年前の継続性と連続性が原則」との考えが、同一労働同一賃金のルールと相まって、今後の定年再雇用時の賃金水準決定の際のインデックスとなるだろうと思います。
実際に定年再雇用時の賃金決定については、多くの企業のご担当者様の頭を悩ます問題の1つかと思います。2016年6月に発表された労働政策研究・研修機構の企業調査によると60歳前半の継続雇用者の仕事内容について、定年前と変わらないまたは仕事内容は変わらないが責任の重さが変わるとの回答が約8割でした。一方賃金については、少し前の東京都の調査によると定年前の概ね50~70%という結果となり、この結果は現状とも大きな乖離はないものと思われます。今後は定年再雇用時の賃金決定にあたって、再雇用だからではなく、法の趣旨に沿った賃金が低下する理由等についての説得力のある根拠が求められるようになると思料されます。在職老齢年金や高年齢雇用継続給付による収入の補填や60歳以上の社員様の雇用契約変更に伴う賃金低下時の社会保険の同日得喪の手続きのご提案などとあわせて、弊社でも何かお役にたてれば幸いですので、どうぞお気軽にご相談下さい。

百花繚乱の季節ではありますが、新入社員の皆様を始め、どの世代の皆様もそれぞれのお立場でオンリーワンのご人財としてご活躍されますよう、応援しております。Homma 🙂